形見分けとは？知っておきたいマナーや時期について詳しく解説

形見分けとは

形見分けとは、故人の遺した遺品を家族や親戚といった近親者や親しい友人などへ分ける事です。
この形見を通して、故人との思い出を分かち合うという気持ちで形見分けは行われるのです。

遺品整理・遺品分割との違い

遺品整理とは、故人が生前保有していたものを、残しておくのか捨てるのかを決める事です。
遺品整理の中で、故人の愛用品や処分したくない遺品を誰かに譲り、使ってもらう行為が形見分けとなります。
遺産分割とは、故人の遺言などが残っていない場合に、遺産を相続人全員で話し合いながら分配していくことです。
こちらは一般的に資産や土地・建物などの財産を分け合う物なので、形見分けで贈られるような遺品は遺産分割には含まれません。

形見分けは必ずするのか

形見分けは、してもしなくてもどちらでも良いです。
必ずしなければならないと法律等で決まっているわけではなく、あくまでも古くからの風習で、残された親族が自由に行うかどうかを決められます。

形見分けを行うタイミング

形見分けを行う時期は特に決まりはありません。
ただし、一般的には忌明け法要が終わってから形見分けが行われます。
忌明けとは、残された家族が喪に服す期間を終えることを言い、仏教では四十九日法要が最初の忌明けとなるので、四十九日法要が終わってから形見分けが行われることが多いです。

形見分けのマナー

ここからは形見分けのマナーをご紹介します。

目上の人には形見分けをしない

形見分けは、親の品を子供に、兄や姉の品を弟や妹にというのが元々の習わしであり、目上の人に形見分けをするのは失礼とされています。
ただし、現在は年齢の上下関係なく形見分けされることも多いです。受け取る側の方が希望されているなら、形見分けをしても問題ありません。

遺品は綺麗にしてから渡す

最低限のマナーとしてある程度綺麗にしてから形見分けを渡します。衣類であれば、クリーニングに出す、アクセサリーや雑貨などは磨いたり、ほこりを取り除いておきます。

梱包はしない

形見分けの品は、化粧箱に入れたり、綺麗に梱包しないのがマナーです。包まずにそのまま贈っても問題ありません。
既に何かの箱に入っている者は、その箱のまま贈っても大丈夫です。

受け取る側の意思を尊重する

形見分けは、受け取る側の意思を尊重して行います。受け取りを断られても、失礼だと思わないようにすることが大切です。

形見分けをするときの注意

形見分けは、遺産相続と関連してトラブルが起こることがあります。こちらでは、形見分けの際に注意することについて解説します。

故人の遺志を大切にする

形見分けは、故人の遺志を尊重するのが基本です。生前エンディングノートが用意されていた場合はその通りにします。
ただし、エンディングノートは家族や相続人への「お願い」にすぎず、遺言書のような法的効力はありません。

形見分けするものを生前の内に決めておく

本人が生前のうちに誰に何を渡すか決めておくと、死後、形見分けの品を希望の相手に渡せなくなるということを防ぐことができます。また、本人が直接誰に渡すかを決めておくことで、形見分けに関するトラブルが起きにくいというメリットもあります。

遺産分割を済ませておく

形見分けは資産価値のある品が残っていない状態で行うのが好ましいため、遺産分割が終わってから行うのが良いでしょう。
高額な品や資産価値がある物は、法定相続人全員でどのように分け合うか決定しなければならず、法律上では遺産分割が最優先され、形見分けは重要視されていないからです。

形見分けする物の価値を調べる

形見分けで高額な品が送られた場合、贈与税の対象となる事があります。高額となりやすい形見分けの品としては、絵画や骨董品が挙げられます。また、相続放棄をしている場合資産価値のあるものを受け取ることができません。
そのため、形見分けをする際は必ず対象の品の価値を見ておきましょう。

形見分けに適した品

形見分けは金額的な価値は低くても、形見としてそばに置いておきたいと思う物を分けることを言います。こちらでは、どういったものが形見分けに適してるのか一例としてご紹介します。

日用品

腕時計、鞄、ハンカチなど故人が日常的に使用していたものです。貴金属やアクセサリーの場合は、換金性が低いものが良いでしょう。

衣類

着物や帯は昔から形見分けの定番です。故人が愛用していたジャケットなども形見分けとしてよく挙げられます。

コレクション類

故人が趣味で集めていた本・食器・フィギュアといったコレクション類は、同じ趣味の人へ贈ると大変喜ばれるものです。ただし、コレクションの中には資産価値が高いものもあるので、形見分けの前に一度専門家に鑑定してもらうと安心です。

写真・映像

故人と相手が一緒に写っている写真や映像は、形見分けとして最適です。ただ、しばらく時間がたたないと写真を見るのは故人を思い出して辛いという人もいるでしょう。そのため写真や映像の場合は、データを残しておくと後々写真を形見分けしてほしいと希望された時安心です。

形見分けの受け取り方

形見分けを受け取ってほしいと言われたら、特別な理由が無い限りは故人や遺族の気持ちを尊重して受け取りましょう。
しかし、やむを得ない理由でどうしても受け取れない場合は、丁重にお断りしましょう。

形見分けにお礼状は必要ない

形見分けを受け取った場合、特にお礼状や御礼の品を返す必要はありません。頂いた品を大切に使いながら故人のことを思い返すのが、形見分けに対するお礼になります。
もし郵送などで贈られてきた場合は、電話やメールで受け取った旨とお礼を伝えると良いでしょう。

形見分けは現金でもできる

本来形見分けとは故人の愛用品で行われるものですが、故人が望めば現金でも可能です。
現代では品物の形見分けを好まない方も増えてきており、現金での形見分けも行われるようになってきました。
こちらでは、形見分けを現金で行う場合の注意事項について説明します。

包装方法

形見分けとして現金を贈る場合、白い無地の封筒に入れて渡します。水引は必要ありません。

一筆添える

郵送で贈る場合は、一筆添えると受け取る側にとっても分かりやすく、快く引き取ってもらえるでしょう。

110万円以上の場合贈与税の対象に

1年間にもらった財産が年間110万円を超えると、贈与税を支払う義務が発生します。贈与税は一人の人が1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えると課税されます。
その点に十分注意して形見分けを行いましょう。

形見分けをする人がいない時は？

形見分けをする人がいない場合は、寄付や寄贈という方法もあります。
例えば各自治体の福祉課では、遺品の寄付を受け付けている所があります。
具体的な例として、書籍や絵画・書道の道具、楽器、カメラ、自転車、家電製品などが挙げられます。

まとめ

今回は、形見分けをいつどのようにするべきか、時期やマナーについて解説しました。
形見分けは、生前深くかかわってきた人たちとともに、故人と向き合って冥福を祈る儀式です。ふさわしい人に遺品を受け継いでもらうことで、故人も安らかに眠れることでしょう。
こちらの記事を参考に形見分けを行ってみてください。