デジタル遺品整理とは？やるべきことや注意点を詳しく解説

デジタル遺品整理とは？

デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータやインターネットサービスのアカウントなど、故人が遺したデジタルデータの事をいいます。
主な具体例として、次のようなものがデジタル遺品にあたります。

• 画像・動画データ
• メール・チャットの履歴
• GmailなどのWebメールアカウント
• SNSアカウント
• インターネット口座（ネット銀行、証券口座等）
• ネットショッピングの決済情報
• キャッシュレス決済・電子マネー
• 業務データ
• 有料サブスクリプションの契約情報
• ブログやホームページの投稿コンテンツ　など

デジタル遺品整理をしないと起こりうるトラブル

デジタル遺品のトラブルは、誰にでも起きうる問題です。特に、以下のような問題は特に増えていくと言われています。

写真データにアクセスできず、遺影に使える写真が見つからない

現在では写真をプリントアウトしておくことも少なくなり、そのため葬儀の際に使用する遺影写真も、パソコンやスマートフォン内に保存されたデータから探さざるを得ないケースが増えています。パソコンやスマートフォンにアクセスできず、仕方なく古い写真を使わざるを得なかったといったトラブルがよくあります。

電話帳にアクセスできず、訃報の連絡ができない

今やスマートフォンで連絡先を管理する時代になり、スマートフォンの電話帳にアクセスできず、連絡先が分からず葬儀の連絡を故人の友人や知人にすることができなかったというトラブルをよく聞きます。

故人が利用していたネット証券がわからない

故人がネット証券で投資をしていた場合、相続の対象となりますが、ネット証券による資産運用は家族に隠れて行われていることも多く、パソコンやスマートフォンにアクセスすることができない場合、そもそも投資をしていたのか、やっていたとしてもどこのネット証券会社で取引していたかなど、資産の実態を把握することが困難となる事も多いです。

デジタル遺品整理でやること

ここでは、どのような手順でデジタル遺品整理を行うのか、ご紹介します。

端末のロックを解除する

故人が使っていたスマートフォンやパソコンには重要なデータが多く保存されているため、優先して確認する必要があります。しかし、これらの端末にはパスワードが掛けられていることがほとんどで、解除しないと保存されたデータを確認することができません。
設定されているパスワードが分からない時は、以下のような方法で解除を試みましょう。

• パスワードを記したメモを探す
• パスワードを推測して入力する
• パスワード解析ソフトを使用する
• パスワード解析業者に依頼する

端末内やネット上のデータを確認

端末のロックが解除できたら、端末内やネット上に保存されたデータを確認します。この際、金銭に関わるものから優先的に確認していくと、相続トラブルや金銭トラブルを防止できます。
また、もしロックが解除できなくても、書類を確認することができればこれらの存在を把握できる可能性もあります。ネット銀行や証券口座の場合は、遺族であることが証明できればパスワードが分からなくても保有資産を把握することは可能です。

解約や相続の手続き

動画配信・電子書籍・音楽配信サービスといった有料サブスクリプションは、遺族が解約しない限り毎月料金の引き落としが続きます。また、銀行口座や証券口座などの残高・保有証券は、相続手続きをしなければ遺族の物になりません。
時間や手間はかかりますが、金銭に関わるものはなるべく早く手続きを進めていきましょう。

データの削除やバックアップ

個人情報や決済情報などの重要なデータが流出しないよう削除しておきます。これらのデータを削除するには、関連するデータを端末内から削除したり、情報が登録されたアカウントを停止することで対応できます。
ただし、一度削除したデータは復元が難しい場合も多いため、残したいデータはバックアップを取っておくことをおすすめします。

通信契約の解除

スマートフォンなどの通信契約は契約者が亡くなった後も引き落としが続くため、解約するのが一般的です。ほとんどの通信会社で、契約者の遺族であれば解約することができます。ただし、一旦解約すると電話番号に基づいたサービスが利用できなくなるので、解約は各種連絡や手続きが終わってから行うと失敗なく出来るでしょう。

デジタル遺品整理をするときの注意事項

デジタル遺品を整理する上で、トラブルが起こる場合もあります。
そういったトラブルを防止するためにも、次のような点に注意して行いましょう。

他の相続人の同意を得る

相続人が複数いる場合、スマートフォンやパソコンなどの機器本体は勿論、保存されているデータも相続の対象となる遺品のため、必ずほかの相続人の同意を得てからロック解除やデータ確認をする必要があります。

むやみにパスワードを打ち込まない

機器の設定によっては、何度もパスワードを間違えると一定期間操作できなくなる可能性があるため、むやみにパスワードを打ち込まないようにしましょう。
特にiPhoneには、10回パスワードを間違えると初期化される設定になっている場合もあります。
もしパスワードが分からない場合は、故人がメモを残しているか探したり、パスワード解析業者に依頼するなどの方法があります。

デジタル機器は初期化してから処分する

デジタル機器は、データを残して処分した場合、情報漏洩や悪用が起こる可能性があります。そのため機器を売却する場合は必ず初期化をし、信頼できる業者へ撒かせることが大切です。

見られたくないデータがあるときは

他人にどうしても見られたくないデータがある場合は、あらかじめ見られてもいいフォルダとみられたくないフォルダに分類し、その後見られたくないフォルダにロックをかける方法がおすすめです。他にも管理ソフトやアプリを使う、HDDやSDカードなどの外付け媒体へ移すなどの方法もあります。

まとめ

スマートフォンやパソコン、インターネット上のデジタル遺品には個人情報や財産関連のデータが含まれているため、適切に対応しなければいけません。伺い知らぬところで金銭を請求されたり、情報漏洩といった事態に陥らないよう適切に整理しましょう。